真剣に学習する人のみ募集 スパルタ英語・英会話のNCC綜合英語学院

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コミュニケーションの上手なとり方(14)執筆A.Y.》

依頼の仕方(2)

日本と欧米の家族観の違いが言語行動にも現れます。

親子でも、お互いに独立した個人(individual)として尊重する意識が強い欧米では、幼児も一人前の個人として、きちんとした表現で自分の欲求を言語化することをたたきこまれます。

ですから、英語圏の親は子供たちに対して幼いころから、何かが欲しいときには単語ではなく、必ずCan/May I have 〜 , please?という文のかたちでお願いしなければならないことを根気よく教えるそうです。

しかも、pleaseを忘れないでつけることを執拗なまでにしつけるということです。

逆に、親から子供にちょっとした用を頼む場合でも、まるで一人前の大人に頼むときのように、Would you 〜, (please)?/Could you 〜, (please)?といった、ていねいな表現を使います。

日本の家族は、親から子供に対して意向を聞いてものを頼むという表現はとらずに、一方的に指示する表現を使うのがふつうです。

しかし、子供の独立した人格を尊重する欧米の家族観のもとでは、親は子供にも丁寧な頼み方をします。

相手の意思を尊重した言い方をすることは、英語のコミュニケーションにおいて、どんな場合にも重要なことです。

人は誰でも自分の行動の自由や意思決定の自由を他の人に侵されたくないという気持ちをもっています。

このような気持ちを尊重した言い方をすることが、politenessのためのことばの工夫であり、それが最もよくなされるのが、依頼の表現においてなのです。

さて、英語で人にものを頼むときに、どの程度のていねいさでものを言ったらいいのかは、およそ三つの要素で決まるといわれています。

一つ目が、相手との新密度や社会的距離です。

親しい人にはくだけた表現を、親しくない人にはあらたまった表現を使います。

二つ目は、依頼する事柄が相手にとって当然の仕事かどうかということです。

当然するべき仕事や義務を頼む場合はていねい度の低い依頼表現でいいのですが、特別な頼みの場合はていねい度の高い、遠慮がちな表現を使います。

三つ目は、依頼する事柄の軽重です。

軽い内容のことを頼む場合はていねい度の低い依頼表現を、重い内容のことを頼む場合はていねい度の高い依頼表現を使います。

ていねい度の高い依頼表現を2つ紹介します。

1つはDo you think it would be possible for you to 〜 ?です。

これは、Do you think 〜 ?と相手の意向を伺い、さらにit would be possible for you to 〜と非人称のitを主語にして遠回しなたずね方をしていることが、この表現をていねいにしています。

2つめは、I was wondering if you could possibly 〜 .というかなりていねい度の高い依頼表現です。

これは、Could/Would you 〜 ?のように直接相手に働きかけるのではなく、「〜してくださるかどうかと思っているのですけれど」と、より遠慮がちに、間接的に相手の意向を伺うニュアンスになります。

しかも、I was wonderingと過去進行形にすることによって、「今あなたにそうしてほしいと思っている」のではなくて、「少し前にそう思っていたのですが」という含みが出て、希望を「少し前」にさかのぼらせることにより、直接的になるのを抑えています。儀礼的過去と呼ばれる用法です。

また、依頼をゆるやかにするためのことばとして、possibly(もしできることなら)が効果的に使われています。

可能性が低いと見ていることを相手に知らせた方が遠慮の度合いが大きく見えるからです。

by any chanceという表現も、頼みが押し付けがましいものになるのを防いでくれます。


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